教科書の選定をめぐって接待を受けたとされる元校長に有罪判決です。
大阪府藤井寺市の市立中学校の元校長・西留俊春被告(61)は、教科書の選定委員だった3年前、大日本図書に対し選定の評価資料を渡すなどした見返りに、現金3万円やゴルフの接待を受けた罪などに問われています。
これまでの裁判で西留被告は起訴内容を認め、「ばれないだろうという甘い考えがあった」と話していました。
25日の判決で大阪地裁は「教科書採択手続きの公正性や社会一般の信頼を大きく害し、刑事責任は相応に重い」と指摘し、懲役1年6カ月執行猶予3年の判決を言い渡しました。(23/1/25 関テレ)
起訴状によると、元校長は市の選定委員だった2020年、「大日本図書」(東京)の教科書が採用されるよう便宜を図った見返りに、同社元取締役(65)(贈賄罪で略式命令)らから現金3万円を受け取ったほか、計3万4000円相当の飲食やゴルフの接待を受けるなどしたとされる。(読売新聞)
また、20年8月~21年11月、実際には使っていない公共交通機関の運賃を、修学旅行の下見の旅費という名目で大阪府に申請し、計約44万円をだまし取った。(朝日新聞)
教科書選定を巡っては、過去にも教科書会社の不適切な営業行為が指摘された。
15年には複数社が教員らに検定中の教科書を見せ、意見を聞くなどした見返りに金品を渡した問題が相次いで明らかになった。
再発防止に向け、業界団体は翌16年、採択に関わる教育関係者への金品の提供や飲食接待を禁じる自主ルールを策定。しかし、22年9月に茨城県五霞町教育長らに対する大日本図書側の接待が発覚するなどルールに反した行為は後を絶たない。
背景には少子化に伴って市場が縮小し、教科書会社間のシェア争いが激化していることがあるとみられる。
事件を受け、藤井寺市教育委員会は10日、「不公正な行為があった」として、市立中で使われている大日本図書の数学と保健体育の教科書について23年度は採用せず、別会社の教科書に変更することを発表した。(日本経済新聞)