>財団法人「日本漢字能力検定協会」(京都市、大久保昇理事長)が公益法人として認められない多額の利益を出していた問題で、文部科学省が03-08年に実地検査した結果、「事業内容と実施状況」の項目で3回連続して3段階のうち最低の「C評価」を付けていたことが28日、分かった。
文科省は「早急に改善すべきだ」と再三、指導。検査対象のうち、残りの「業務運営」「会計処理収支、資産」「予算と決算」の項目も検査を重ねるごとに悪化した。
08年には全項目で改善が必要と通知し、改善計画の提出を求めた。
しかし、協会は期限内に提出せず、昨年末までに提出した計画も同省は「不十分」としている。
文科省によると、検査は03、04、06、08年の4回実施。04年以降の3回は「事業内容と実施状況」が「法令または寄付行為に反するなど早急に改善すべきもの」とするC評価だった。
08年には、会計処理などの項目もC評価に。「業務運営」「予算と決算」は「改善を加えた方が良い」とするB評価となり、全項目から「改善の必要がない」とするA評価が消えた。(09/2/28 共同通信)

>公益事業では認められない多額の利益を上げていた日本漢字能力検定協会が今年度、日本貿易振興機構(ジェトロ)の赤字事業「ビジネス日本語能力テスト(BJT)」を3億3600万円で買い取っていたことがわかった。
ほかにも、全国にある様々な資格や検定の信頼性を評価する組織を設立するなど事業を拡大し、今年度だけで計約6億円を支出している。
文部科学省から指導された“黒字減らし”が目的だが、一方で、検定料の引き下げには応じておらず、同省は「抜本的な解決にならない」として、あくまで引き下げを求めている。
協会は公益事業で06年度約9億円、07年度約7億円の利益があり、同省が06年と08年に検定料の引き下げを指導。協会は07年度に一部を引き下げたが、同省は不十分としている。
BJTは、ジェトロが日本語を習う外国人向けに96年から実施。05~08年度は各5000~9000人が受検したが、毎年度2000万~8000万円の赤字が生じ、4年間の赤字額は計約2億円に上る。
総務省政策評価・独立行政法人評価委員会が06年、民間移管をジェトロに勧告。08年2月に入札が行われ、同協会が落札した。
ジェトロの関係者は「高額で売却でき、ほっとした」と振り返る。協会は今年度約3億円を分納しており、09年度から協会が検定事業を行うという。
さらに、協会は08年12月、各地で増えている資格や検定の内容、信頼性を第三者の立場で評価することを目的とした一般財団法人「資格標準化機構」(東京都千代田区)を設立。基本財産と運営資産に2億円を拠出し、大久保理事長が代表理事に就任した。理事には、著名な学者らが名を連ねている。
このほか、協会は07年度に始めた東大大学院教育学研究科との共同研究に、08年度は1800万円を寄付。07年度からの京大経済研究所との共同研究に08年度、3000万円を寄付する。
協会は検定料の引き下げについて、「収支バランスの均衡が崩れ、円滑な経営を阻害する」として、文科省には「公益事業の拡大で利益を減らす」と説明。これに対して、同省は「一時的な支出に過ぎず、抜本的な対策としては検定料の引き下げが必要」との姿勢を崩していない。(09/2/21 読売新聞)

>日本統計事務センターが、レーシングチームのメーンスポンサーになっていたことが分かった。協会は08年10月、文部科学省に対し同社に精算事務委託費として年間約4000万円支出したと報告しながら、実際には3年間で31億円以上も払っていたことが発覚。
間接的にとはいえ、漢検の収益がレースに投入された可能性もある。
協会関係者によると大久保副理事長はレース好きで知られ、協会本部ビル2階にある漢字資料館には、漢字で装飾を施したレーシングカーが展示されている。この関係者は「出張したはずの副理事長が海外レースのテレビ中継に映っていてびっくりしたことがある」と話した。
HP記載のチーム本社所在地は協会近くのテナントビルになっているが事務所は見当たらず、三重県内の関連事業所は「本社に聞いてほしいが連絡先は言えない」としている。
一方、日本統計事務センターも取材を拒否している。(2/18 毎日新聞)

>「もうけ過ぎ」と指摘されている財団法人・日本漢字能力検定協会が昨年12月、2億円を拠出して、全国に数多くある検定の信頼性を評価する財団法人を設立していたことがわかった。代表には協会の大久保昇理事長が就任。
準備段階では、息子の副理事長側が献金している参院議員とともに文部科学相に要望活動をしていた。
協会関係者は「検定業界での影響力強化を狙って新財団を設立した」と話している。
漢検協会が設立した財団法人は、「資格標準化機構」(東京都千代田区)。
団体や自治体が実施する検定・資格試験が2千とも3千とも言われるほど増えているのを踏まえ、それぞれの信頼性や内容を第三者の視点で評価し、検定実施団体に情報提供することなどを目的に掲げている。
基本財産と運営資金の計2億円を協会が出し、協会の大久保昇理事長が代表理事、息子で協会副理事長の浩氏が理事に就いている。
機構の関係者は「日本最多の受検者数をもつ漢検協会の決済・申し込み業務などのノウハウを、機構を通じて、他の検定団体に有償で提供することも検討している」と話しており、漢検協会の収益拡大につなげる狙いもあるとみられる。
また、協会の関係者は「機構の『格付け』が他の検定の人気や受検者数に影響するようになれば、漢検協会が他の検定団体を間接的に支配することになる」と機構設立の狙いを説明する。
各種検定の信頼性確保については、国の中央教育審議会が昨年2月、「民間事業者による第三者評価機関や国による評価ガイドラインの必要性を検討する」と答申。文科省は同5月、「検定試験の評価の在り方に関する有識者会議」を立ち上げ、具体的な検討を進めている。
漢検協会はこうした動きに先立って機構の設立準備に動き、関係者によると、副理事長の浩氏が昨年1月中旬、渡海紀三朗・文部科学相(当時)と面談。
設立をめざす資格標準化機構について「国の指定機関にするなど、法制度の中で位置づけてほしい」と要望した。
この場には民主党の福山哲郎参院議員(京都選挙区)も同席、「検定の資質を上げる仕組みが必要だ」などと意見を述べたという。
政治資金収支報告書などによると、浩氏が代表を務める「日本統計事務センター」は03~07年、福山氏が代表を務める民主党京都府参議院選挙区第2総支部に約450万円を寄付。浩氏も個人名義で、04年に同支部へ100万円、05年には福山哲郎後援会へ50万円を寄付している。
福山氏によると、浩氏とは知人の紹介で98年ごろに知り合った。
福山氏は朝日新聞の取材に対し、文科相への要望活動について「各種検定の資質を上げ、評価できる仕組みが必要との認識があり、文科相にその旨を伝えた」と説明。
浩氏側からの献金については「政治資金収支報告書に記載の通り、適切に処理している。返還については(協会の)実態解明を踏まえて検討したい」としている。
協会の広報担当は「内部調査を最優先しており、取材に応じることが難しい状況にある」とコメントした。(2/15 朝日新聞)

>日本漢字能力検定協会の公益事業としては過大な利益が問題になっているが、複数の評議員が毎日新聞の取材に「名前も知らない関連会社に多額の宣伝費を払っていたとは知らなかった」「経営が分かるのは理事長親子だけ」などと語った。
評議員13人のうち11人は漢字・国語・文章の専門家で「漢字は分かるが数字はさっぱり」と言う人も。トップに任せきりの運営状況が明らかになった。
協会関係者によると協会は大久保昇理事長と長男の大久保浩副理事長のほか6人の理事が運営。
評議員はそれをチェックする立場だったが、ほとんどは学者や教育者で、年2回の評議員会では、理事長らの説明を追認するだけだったという。
評議員の一人は「理事長は有名人好きで、理事や評議員は名誉職も多い。定例会では理事長と副理事長の説明を黙って聞いていることが多かった」と話す。別の評議員は、協会が03年に約6億7000万円で邸宅を購入したと報告された際に「もっと他のことに使えばいいのに」と思ったが、意見は控えたという。
問題発覚後の今月6日、定例会に出た評議員は、協会が3年間で約7億6000万円の業務委託費を払っていたとされる理事長が代表の広告会社「メディアボックス」について「金額どころか、名前を聞いたのも初めて」と証言。「評議員会も理事会も経営のことは分からない人ばかり。このメンバーにチェック機能を求めるのは元々無理」と言い切った。
文部科学省は、協会がチェック機能不全に陥っていた可能性があるとみている。(2/12 毎日新聞)

>メディアボックスが、協会から委託された業務を広告代理店に再委託していたことが10日、関係者の話で分かった。
文科省は同社が業務を全くせずに利益を得ていた可能性もあるとみて調査している。
協会関係者によると、同社に委託された業務は実際は協会が直接、広告代理店に発注。
広告原稿の校正などは協会職員が代行していたという。
協会が広告代理店などに広告業務を発注すると、請求書はいったんメディアボックスに渡る。
同社は広告代理店の請求書に協会からの委託費を上乗せし協会に請求。
協会はメディアボックスに上乗せ分を加えて支払っていたとみられる。
6日の評議員会で「メディアボックスの従業員数は」と質問が出た際には大久保理事長が「ほとんどいない」と答え、「漢検の隆盛はひとえにメディアボックスによる」と声を荒らげたという。
民間の信用調査会社によると、メディアボックスは従業員2人。教育機関の広告制作、漢字能力検定試験のポスターやパンフレット作成が主な業務とされる。文科省によると、委託料は06-08年度で約8億円あったことが明らかになっている。(2/11 共同通信)

>日本漢字能力検定協会が公益事業では認められない多額の利益を上げるなどしていた問題で、同協会の大久保昇理事長と大久保浩副理事長がそれぞれ代表を務める計4社に対し、同協会が広報活動や採点業務などで06年4月~08年12月の間に計約66億円の業務委託費を支払っていたことが6日、わかった。
同協会がこれまで、文部科学省に報告したのは計約14億円分の委託費のみで、公益法人指導基準に違反する恐れがある。
京都市内で6日、非公開で行われた理事・評議員会で報告された。
議案書などによると、理事長が代表を務めるのは3社。06年4月~08年12月の間、出版会社「オーク」(京都市西京区)にビル賃貸や出版物の仕入れで約27億円、広告会社「メディアボックス」(同)に広報・広告業務などで約8億円、調査研究機関「文章工学研究所」(同市下京区)に約1500万円を支出。
副理事長が代表を務める「日本統計事務センター」(同市西京区)には、データ処理、採点処理などで約31億円を支払っていた。
同省の公益法人指導基準では、公益法人が法人関係者に有利になる取引を結ぶことを禁じている。(2/7 読売新聞)