>全国学力テストについて、公立小中学校教員の約7割が「必要ない」と考えていることが大学教授や教育関係者でつくる「日本の教育を考える10人委員会」の調査で分かった。
調査はインターネットで8月に実施、全国の公立小中学校の教員1200人が回答した。
小6と中3の全員を対象に実施している全国学力テストを
「引き続き行う必要がある」としたのは21%。
「必要はなく、調査校を一部抽出して行えばよい」が30%、
「必要はなく、各自治体の調査でよい」が44%だった。
事前にテスト対策をしたと答えた教員は13%。
全国テストの結果を授業改善に活用しているのが44%、
活用していないのは43%で拮抗(きっこう)した。
児童生徒の家庭状況について聞いたところ、給食費の未納などで経済的な格差の拡大を感じているのは92%に上った。家計の格差が、児童生徒の学力格差に影響を与えていると考える教員も87%と、高い割合だった。(08/11/13 産経新聞)
>「日本の教育を考える10人委員会」(委員長・立命館大教授佐和隆光)の調査によると、公立小中学校の教員約7割が、小学6年生と中学3年生全員を対象に実施している全国学力テストを「必要ない」と考えていることが13日、分かった。
今回の調査はインターネットで8月に実施。全国の公立小中学校の教員1200人から回答を得た。
来年度から先行実施される改定学習指導要領については、「総合的な学習の時間」が減ることに賛成が80%だったが、全体の授業時間数が増えることに賛成する教員は55%にとどまった。
また、教員の6割が「辞めたい」と思ったことがあり、若手の3人に1人は週20時間以上の残業を強いられているという結果も出、小中学校の教員に負担感があることが浮き彫りになった。
今回調査を行った「日本の教育を考える10人委員会」は教育分野で提言活動を行っており、大学教授や教育関係者が活動を行っている。
>全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)を巡り、大阪府や秋田、鳥取県などで市町村別や学校別の成績を一律公表しようとする動きが出てきた。地域や学校間の格差を一目で分かるようにし、危機感や競争心をあおることで学力を底上げしようという思惑が見てとれる。しかし、こうした流れが拡大すれば、結果至上主義を助長して教育をゆがめるとともに、児童・生徒の学習意欲を減退させかねない。
テスト導入から2年。学力の課題を浮き彫りにした役目は、もう果たした。弊害の多い現行テストは廃止すべきだ。
文部科学省の学力テスト実施要領は、市町村や学校別成績の一律公表を認めていない。理由は「過度の競争や序列化につながる」から。しかし一方で、市町村教委や学校が自ら公表することは認めている。矛盾する二つの考えを並立させている文科省を取材していると「本気で競争を防ごうとはしていないのではないか」との印象を受ける。
テストとはそもそも競争原理に根差した存在だ。昨年、43年ぶりに全員参加方式のテストが復活した背景にあったのは、学力低下への懸念。「ゆとり教育」を敵視し「競争原理を導入して、過度なゆとりと『押しつけを排除して好きなことをすればいい』という利己主義を駆逐せよ」と主張する声が、与党議員らを中心に広がった。04年秋に中山成彬文科相(当時)がテスト導入を表明した際には「もう少し競い合う心が必要」と発言している。
一方で、義務教育費国庫負担金の削減が論じられた時期でもあった。与党議員の思い描く「教育の引き締め」と、予算確保の裏付けとなる教育現場への関与強化という文科省の思惑が一致。その施策の象徴が新たな学力テストだった。
61年に始まった最初の学力テストは「教育内容の国家統制につながる」と日教組の激しい反発を招いた。テストの予行演習をしたり成績の悪い子供を欠席させる学校も現れるなど競争が過熱。弊害が目立ったため文部省(当時)は64年を最後に全員参加方式を取りやめた。その苦い記憶があるからこそ、文科省は復活に当たって「競争をあおる目的ではない」とのメッセージを強調する必要性に迫られたのだ。
だが、「ゆとり敵視」の導入経緯を考えれば、まるでアクセルとブレーキを同時に踏むようなものだ。文科省自身が自己矛盾に陥っているからこそ、自治体の動きに毅然(きぜん)とした対応ができない。戸惑うのは現場の教師や子供たちだ。
もし、私が小中学生のころにこのテストを受けたらどう考えただろうか。尻をたたかれている感覚に嫌気が差したのではないかと思う。隣の学級や学校との競争に躍起になっている教師の姿を見たら、なおのこと反発しただろう。
徹底した競争主義でエリートを養成し、国家を担う人材を確保しようというビジョンがあるのなら、それを前面に出せばいい。しかし、日本が目指すのはそうした社会ではないはずだ。「成績下位層を減らす」という底上げの意図があるのなら、このテストはむしろ逆効果になる。国語や算数・数学という限定的な「物差し」で測られ、そこで自己肯定できなかった子供たちの他の才能の芽を摘むことになりかねないからだ。
ノーベル物理学賞の受賞が決まった益川敏英氏は、塩谷立文科相との面談で「今の教育は考えない人間を作っている。親も教育熱心というより教育結果熱心だ」と、痛烈なメッセージを伝えた。一つのことをとことん考え抜き、究極の高みに到達した研究者の言葉だけに説得力がある。
テスト実施の効果もあった。従来のように知識の習得や丸暗記、情報処理速度ばかり求められる問題ではなく、活用力や読解力を要する問題を多用し「そうした学力が求められている」というメッセージを全国の教育現場に伝えた点だ。日本が近年順位を落とした国際的な学力調査の出題傾向を模倣した面があるとはいえ、その意味は大きい。
しかし、その目的ももう果たした。初年度と2年目で学力の課題に大差はなく都道府県別の成績もほぼ固定化していた。現行テストは廃止して、今後は定期的に抽出調査をやればいい。浮いた費用を教師増員や効果的な学習法の開発などに回した方が得策だろう。
競争させたいという「本音」を隠しながらのテスト継続は不誠実だし、子供たちも現場の教師も信じてついていくことはできない。厳しい財政事情で国の教育予算の伸びも望めない中、次代を担う人材の育成はますます重要な課題だ。方針を改めるなら、できるだけ早いほうがいい。(11/12 毎日新聞 記者の目)
>日本共産党の石井郁子議員は九日の衆院文部科学委員会で、四月二十二日予定の全国いっせい学力テストについて「特定の受験産業の営利を助長し、子どもを競争にかりたてるものだ」として悉皆(しっかい)調査(=全数調査)の中止を求めました。
石井氏は、昨年の学力テストで全国一位の秋田県で、成績の悪い学校の校長が教育委員会に呼び出されたり、教師がみせしめに始末書を書かされたりしている実態を指摘。
試験当日に、回答を間違っている子どもに教師が正解を指で示した問題にもつながったとして「学校教育に大きなゆがみをもたらしている。影響は深刻だ」と批判しました。
また、学力テストを受託している「ベネッセ」が、自社の売り込みに学力テストを利用している実態を告発しました。
石井氏が示したのは、都内の小学六年生の例。ベネッセの「進研ゼミ」の勧誘案内が、今年一月に三回、二月に七回、三月九回と、計十九回もあり、その中には「四、五月に何もしないと十点も下がる」との脅し文句もありました。
保護者から「税金でテストを請け負った企業が、その個人情報でまたもうけようという仕組みは許せない」という声が寄せられたと指摘し、「このようなことを野放しにするのか」と追及しました。
渡海紀三朗文科相は「疑義のあるようなことがあれば再度調査し報告したい」と答弁しました。
石井氏は、学力テストの結果を分析・改善するとして都道府県教育委員会に設置されている「検証改善委員会」で、岡山県、島根県などが学力向上対策としてベネッセの教材購入を決めていることを示し、「結局、特定企業への教育市場の開放であり、文科省と企業の癒着ではないのか」とただしました。(08/4/11 しんぶん赤旗)
調査はインターネットで8月に実施、全国の公立小中学校の教員1200人が回答した。
小6と中3の全員を対象に実施している全国学力テストを
「引き続き行う必要がある」としたのは21%。
「必要はなく、調査校を一部抽出して行えばよい」が30%、
「必要はなく、各自治体の調査でよい」が44%だった。
事前にテスト対策をしたと答えた教員は13%。
全国テストの結果を授業改善に活用しているのが44%、
活用していないのは43%で拮抗(きっこう)した。
児童生徒の家庭状況について聞いたところ、給食費の未納などで経済的な格差の拡大を感じているのは92%に上った。家計の格差が、児童生徒の学力格差に影響を与えていると考える教員も87%と、高い割合だった。(08/11/13 産経新聞)
>「日本の教育を考える10人委員会」(委員長・立命館大教授佐和隆光)の調査によると、公立小中学校の教員約7割が、小学6年生と中学3年生全員を対象に実施している全国学力テストを「必要ない」と考えていることが13日、分かった。
今回の調査はインターネットで8月に実施。全国の公立小中学校の教員1200人から回答を得た。
来年度から先行実施される改定学習指導要領については、「総合的な学習の時間」が減ることに賛成が80%だったが、全体の授業時間数が増えることに賛成する教員は55%にとどまった。
また、教員の6割が「辞めたい」と思ったことがあり、若手の3人に1人は週20時間以上の残業を強いられているという結果も出、小中学校の教員に負担感があることが浮き彫りになった。
今回調査を行った「日本の教育を考える10人委員会」は教育分野で提言活動を行っており、大学教授や教育関係者が活動を行っている。
>全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)を巡り、大阪府や秋田、鳥取県などで市町村別や学校別の成績を一律公表しようとする動きが出てきた。地域や学校間の格差を一目で分かるようにし、危機感や競争心をあおることで学力を底上げしようという思惑が見てとれる。しかし、こうした流れが拡大すれば、結果至上主義を助長して教育をゆがめるとともに、児童・生徒の学習意欲を減退させかねない。
テスト導入から2年。学力の課題を浮き彫りにした役目は、もう果たした。弊害の多い現行テストは廃止すべきだ。
文部科学省の学力テスト実施要領は、市町村や学校別成績の一律公表を認めていない。理由は「過度の競争や序列化につながる」から。しかし一方で、市町村教委や学校が自ら公表することは認めている。矛盾する二つの考えを並立させている文科省を取材していると「本気で競争を防ごうとはしていないのではないか」との印象を受ける。
テストとはそもそも競争原理に根差した存在だ。昨年、43年ぶりに全員参加方式のテストが復活した背景にあったのは、学力低下への懸念。「ゆとり教育」を敵視し「競争原理を導入して、過度なゆとりと『押しつけを排除して好きなことをすればいい』という利己主義を駆逐せよ」と主張する声が、与党議員らを中心に広がった。04年秋に中山成彬文科相(当時)がテスト導入を表明した際には「もう少し競い合う心が必要」と発言している。
一方で、義務教育費国庫負担金の削減が論じられた時期でもあった。与党議員の思い描く「教育の引き締め」と、予算確保の裏付けとなる教育現場への関与強化という文科省の思惑が一致。その施策の象徴が新たな学力テストだった。
61年に始まった最初の学力テストは「教育内容の国家統制につながる」と日教組の激しい反発を招いた。テストの予行演習をしたり成績の悪い子供を欠席させる学校も現れるなど競争が過熱。弊害が目立ったため文部省(当時)は64年を最後に全員参加方式を取りやめた。その苦い記憶があるからこそ、文科省は復活に当たって「競争をあおる目的ではない」とのメッセージを強調する必要性に迫られたのだ。
だが、「ゆとり敵視」の導入経緯を考えれば、まるでアクセルとブレーキを同時に踏むようなものだ。文科省自身が自己矛盾に陥っているからこそ、自治体の動きに毅然(きぜん)とした対応ができない。戸惑うのは現場の教師や子供たちだ。
もし、私が小中学生のころにこのテストを受けたらどう考えただろうか。尻をたたかれている感覚に嫌気が差したのではないかと思う。隣の学級や学校との競争に躍起になっている教師の姿を見たら、なおのこと反発しただろう。
徹底した競争主義でエリートを養成し、国家を担う人材を確保しようというビジョンがあるのなら、それを前面に出せばいい。しかし、日本が目指すのはそうした社会ではないはずだ。「成績下位層を減らす」という底上げの意図があるのなら、このテストはむしろ逆効果になる。国語や算数・数学という限定的な「物差し」で測られ、そこで自己肯定できなかった子供たちの他の才能の芽を摘むことになりかねないからだ。
ノーベル物理学賞の受賞が決まった益川敏英氏は、塩谷立文科相との面談で「今の教育は考えない人間を作っている。親も教育熱心というより教育結果熱心だ」と、痛烈なメッセージを伝えた。一つのことをとことん考え抜き、究極の高みに到達した研究者の言葉だけに説得力がある。
テスト実施の効果もあった。従来のように知識の習得や丸暗記、情報処理速度ばかり求められる問題ではなく、活用力や読解力を要する問題を多用し「そうした学力が求められている」というメッセージを全国の教育現場に伝えた点だ。日本が近年順位を落とした国際的な学力調査の出題傾向を模倣した面があるとはいえ、その意味は大きい。
しかし、その目的ももう果たした。初年度と2年目で学力の課題に大差はなく都道府県別の成績もほぼ固定化していた。現行テストは廃止して、今後は定期的に抽出調査をやればいい。浮いた費用を教師増員や効果的な学習法の開発などに回した方が得策だろう。
競争させたいという「本音」を隠しながらのテスト継続は不誠実だし、子供たちも現場の教師も信じてついていくことはできない。厳しい財政事情で国の教育予算の伸びも望めない中、次代を担う人材の育成はますます重要な課題だ。方針を改めるなら、できるだけ早いほうがいい。(11/12 毎日新聞 記者の目)
>日本共産党の石井郁子議員は九日の衆院文部科学委員会で、四月二十二日予定の全国いっせい学力テストについて「特定の受験産業の営利を助長し、子どもを競争にかりたてるものだ」として悉皆(しっかい)調査(=全数調査)の中止を求めました。
石井氏は、昨年の学力テストで全国一位の秋田県で、成績の悪い学校の校長が教育委員会に呼び出されたり、教師がみせしめに始末書を書かされたりしている実態を指摘。
試験当日に、回答を間違っている子どもに教師が正解を指で示した問題にもつながったとして「学校教育に大きなゆがみをもたらしている。影響は深刻だ」と批判しました。
また、学力テストを受託している「ベネッセ」が、自社の売り込みに学力テストを利用している実態を告発しました。
石井氏が示したのは、都内の小学六年生の例。ベネッセの「進研ゼミ」の勧誘案内が、今年一月に三回、二月に七回、三月九回と、計十九回もあり、その中には「四、五月に何もしないと十点も下がる」との脅し文句もありました。
保護者から「税金でテストを請け負った企業が、その個人情報でまたもうけようという仕組みは許せない」という声が寄せられたと指摘し、「このようなことを野放しにするのか」と追及しました。
渡海紀三朗文科相は「疑義のあるようなことがあれば再度調査し報告したい」と答弁しました。
石井氏は、学力テストの結果を分析・改善するとして都道府県教育委員会に設置されている「検証改善委員会」で、岡山県、島根県などが学力向上対策としてベネッセの教材購入を決めていることを示し、「結局、特定企業への教育市場の開放であり、文科省と企業の癒着ではないのか」とただしました。(08/4/11 しんぶん赤旗)
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