>財団法人「日本漢字能力検定協会」をめぐる背任容疑事件に関連し、大久保昇元理事長(74)と長男の浩元副理事長(46)=いずれも背任罪で公判中=をはじめ、2人が代表を務める関連4社が、大阪国税局の税務調査を受け、09年9月期までの7年間で計約6億円の申告漏れを指摘されていたことが29日、関係者の話で分かった。
うち約4億円について、国税局から所得隠しにあたると指摘されたという。
所得税や法人税などの追徴税額は重加算税を含み計約2億5千万円に上り、元副理事長らは修正申告に応じたもようだ。
元正副理事長の申告漏れは計約3億円で、約1億5千万円が追徴課税された。大半が浩元副理事長の分で、クルーザーや外国製高級車のリース料など関連会社の経費としていた約2億円が個人的な支出で報酬や賞与に当たるとされた。浩元副理事長が、東京都のコンサルタント会社(破産)に出資して得た約1億円は所得隠しと指摘されたという。
関連4社は計約3億円の所得隠しを指摘された。情報処理会社の「日本統計事務センター」(西京区)と「チャレンジ・ネット」(同)、広告会社「メディアボックス」(同)と出版会社「オーク」(同)への追徴税額は計約1億円という。
一方、協会は大阪国税局の税務調査で、04年4月~09年4月に昇元理事長方の警備費用や国内外の旅行経費として計上した計約790万円が元理事長への賞与と認定された。修正申告を済ませ、追徴税額計約230万円を支払った。(10/7/30 京都新聞)
>日本漢字能力検定協会は4日までに、大久保昇前理事長(74)=背任罪で公判中=が代表の出版会社「オーク」に対し、漢字検定の問題集などの著作権が協会にあることの確認を求め、大阪地裁に提訴した。提訴は11月30日付。
また、協会本部ビルの賃料減額の調停が京都簡裁で不成立となったため、所有者のオークを相手取り、4日までに賃料減額の確認を求める訴えを京都地裁に起こした。
協会側代理人によると、「検定問題や問題集は、職員が制作し発行したもの」として、協会に著作権があるとしている。
オーク側は「著作権はオーク側にあり、不当な訴え」としている。ことし10月には、協会理事などに対し警告書を送付。協会が著作権者だと示すシールを書籍に張り付けて販売するのは著作権侵害に当たるとして、中止を求めていたという。(09/12/4 産経新聞)
>元日弁連会長の鬼追(きおい)明夫弁護士(75)が整理回収機構(RCC)の社長当時、債権回収対象の会社から月10万円の顧問料を受領していた問題で、日弁連が、大阪弁護士会の戒告処分を不服として鬼追弁護士が申し立てた審査請求を棄却したことが9日、分かった。決定は6日付。
議決書では、鬼追弁護士は不動産会社との顧問契約を解消するか、RCCの同意を得るかすべきだったと指摘。そのうえで、同意を得ないまま顧問契約を継続したのは弁護士としての品位を失うべき非行に該当するとした。
鬼追弁護士は現在、日本漢字能力検定協会の理事長を務めている。(09/11/9 産経新聞)
>日本漢字能力検定協会が、大久保昇・前理事長と長男の浩・前副理事長が親族企業4社との取引で協会に損害を与えたとして、2人と4社に対し、計約27億4000万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が27日、京都地裁(滝華聡之裁判長)であった。被告側は答弁書で、「協会に損害を与えた事実はない」と請求の棄却を求め、全面的に争う姿勢を示した。
2人は、2社に実態のない業務を架空委託し、協会に2億8700万円の損害を与えたとして背任罪に問われた刑事裁判で無罪を主張しており、刑事、民事両方の責任追及に真っ向から対抗する形となった。
答弁書では、2人が協会の理事会の承認を得ず、4社に書籍販売や検定の採点などの業務を委託したとする協会の主張に対し、「4社との取引は、今年4月に理事会と評議員会で追認決議を受け、有効な契約となっている」と反論。
こうした取引で協会に不要な支出をさせたとされる点については、「協会は、4社と一体となって漢検事業を発展させ、2人の貢献で莫大(ばくだい)な利益を得た。4社への委託費は相当性のある金額で、取引による損害は発生していない。仮に他の業者に同じ業務を委託した場合、より高額な費用が発生した」と主張した。(11/28 読売新聞)
>財団法人・日本漢字能力検定協会の鬼迫明夫理事長は27日、文部科学省を訪ね、4月の着任後の協会改革について報告するとともに、前理事長で背任罪で起訴された大久保昇被告と、長男で前副理事長の浩被告、2人の親族企業の4社に対し、計約27億円の損害賠償請求を提示したことを明らかにした。
鬼迫理事長によると、賠償額は時効が生じない今年3月までの過去10年間を対象に算出。7月中旬に代理人を通じて提示したという。
鬼迫理事長は、「新生漢検100日プロジェクト」の成果について板東久美子生涯学習政策局長に報告。
4社との取引は本部ビルの賃貸借契約以外はすべて解消し、理事、評議員、監事ら運営体制の刷新を進めているとした。
報告後の会見で鬼迫理事長は「前の正副理事長の体制と完全に決別できた。残る課題は役員と職員の意識改革だ」と強調。
6月の検定で受検者が3割減少したことについては、「信頼回復でおのずから増えると信じている。目先の数字に一喜一憂せずに臨みたい」と述べた。
同協会をめぐっては、財団法人として過剰な利益を上げるなど不適切な運営が今年1月に発覚。
4月に正副理事長が交代後、京都地検は2人を背任容疑で逮捕し、「メディアボックス」「文章工学研究所」との取引のうち総額約2億8700万円分を立件した。
残る「オーク」「日本統計事務センター」の2社については「取引実態があった」として立件は見送られたが、協会は「不必要な業務委託で損害を受けた」と主張している。(09/7/27 産経新聞)
この27億は、受験者に返されるのだろうか? それとも、漢検のポッケ?
>世界にたった1台しかない車やクルーザー、さらには不動産、株を買いあさる――。日本漢字能力検定協会の背任事件で、京都地検は29日、前理事長・大久保昇(73)、前副理事長・浩(45)の両被告が、関連会社との取引などで稼いだ資金の多くを個人的な趣味や投資につぎ込んでいた実態を明らかにした。
一方、協会は前理事長らと決別し、運営改善に取り組むが、父子が受検者280万人の公益事業を“食いもの”にした代償は重い。
京都地検はこの日、2人が使った協会の資金約30億円について、詳細に説明した。
発表によると、関連会社を使って協会の資金の管理を始めたのは、「協会がもうかっているのに、自分たちの実入りが少ない」という自分勝手な理屈だったという。
昇被告はバブルの時期から国内外で次々と不動産を購入。しかし、バブル崩壊によって、1995年頃には約6億円の負債を抱え、返済のための利息を合わせると年間約3000万円の支払いを迫られる状態に陥った。それにもかかわらず、03年4月以降は、個人的な株取引に計約3億円を使っていたという。親族企業「オーク」からの借り入れは5億円を超えていた。
一方の浩被告。関連会社から得た多額の役員報酬などを浪費し続けた。96年以降、私的に使用した額は計約23億円にのぼるといい、地検は「世界に1台しかない車を買ったり、クルーザー、投資信託、海外旅行などに使ったりしていた」という。
昇被告の娘に関連4社から支払われたとされていた報酬の大半も、両被告が使ったという。娘には06~08年度の3年間だけで、1億円以上が支給されていた。
損害賠償請求など本格化へ
協会は今年度から検定料を500~100円引き下げ、21日に個人対象の漢字検定を行ったが、受検者は昨年同期の約7割にとどまった。大久保前理事長側に対し、損害賠償請求や、商標権、特許権などの譲渡を求めており、今後、交渉が本格化する。
運営の透明化には、刷新された理事、評議員の役割も重要だ。8人いた理事のうち唯一残留した水谷修・名古屋外国語大学長(76)は「今まで運営について知ろうとしなかったことを反省し、体制の立て直しと、漢検の目指す将来構想を議論する責任を果たしたい」と語った。
協会はこの日、追起訴事実と同内容で両被告を京都地検に告訴し、「職員一同、公益法人という原点に立ち返り、法令規範を遵守して事業の継続に努め、『新生漢検』に向けて、生まれ変わるべく、まい進している」とのコメントを発表した。
今回の起訴について、4月16日付で就任した鬼追明夫理事長(74)は読売新聞の取材に対して、「今後、協会としては大久保父子体制を完全に払拭するとともに、裁判を注視したい」と語った。「現在、職員は前理事長らの暴走を止めることができなかったことを反省し、協会をきちんとした公益法人にするために一生懸命、働いてくれている。組織の質を高める努力を続けたい」と話した。(6/30 読売新聞)
>日本漢字能力検定協会をめぐる背任事件で、京都地検は29日、前理事長系の関連会社に架空の業務を委託して、協会に2700万円の損害を与えたとして、前理事長の大久保昇被告と、長男で前副理事長の浩被告を背任罪で追起訴した。
起訴済みの分を加えた背任罪での立件総額は約2億8700万円になり、一連の捜査を終えた。
地検は、2人が昇被告の退職金名目などで協会資金を引き出し、私的に流用したとみて、業務上横領容疑でも捜査したが、全額が協会に返済されていたことなどから立件を見送った。
起訴状によると、2人は、昇被告が代表を務める調査会社「文章工学研究所」に対し、調査研究費の名目で04年11月~08年10月に計2700万円を不正に支出し、協会に損害を与えたとされる。
2人は、昇被告が代表の広告会社「メディアボックス」へも、同様の手口で約2億6千万円分の架空業務を委託したとして、既に起訴されている。(6/30 朝日新聞)
>日本漢字能力検定協会をめぐる背任事件で、前理事長の大久保昇容疑者と、長男で前副理事長の浩容疑者が、関連の調査会社に業務を委託したように装い、過去5年間に計2700万円を支出していたことが協会関係者の話でわかった。委託費は同社の役員を務める親族の報酬に流用されていたという。架空取引で協会に損害を与えた可能性が高く、京都地検は来週にも、この新たな背任容疑で2人を再逮捕する方針。
協会関係者や内部資料によると、調査会社は昇容疑者が代表を務める「文章工学研究所」。
同社は事務所を持たず、協会との取引については両容疑者が決定していた。
協会は98年に同社と業務委託契約を結び、文章の作成技術に関する調査などを名目に、07年度まで年600万円の委託費を支出。08年度も300万円を支払っており、委託費の総額は6300万円にのぼるという。
委託費はすべて、同社取締役を務める昇容疑者の長女の報酬に充てていたとされる。
京都地検は、このうち背任の公訴時効にかからない過去5年(04~08年度)の2700万円の委託費について容疑を固め、再逮捕するとみられる。
同社は、昇容疑者の知人が実質的に経営していた文章ソフトの研究開発会社が前身。昇容疑者経営の出版会社「オーク」が98年10月に買収し、昇容疑者が代表に、浩容疑者ら親族3人が役員に就任した。この知人は同社のただ1人の社員として雇用されたが、協会からの委託業務については一切知らされていなかったという。
協会関係者は「文章工学研究所は昇容疑者が経営権を握った後、ペーパー会社と同然になった。長女も含め役員に勤務実態はなく、協会との一連の委託取引も架空だった」と証言する。
京都地検は8日にも、昇容疑者が代表を務める広告会社「メディアボックス」に対する架空の業務委託で、協会に約2億6千万円の損害を与えたとする背任罪で両容疑者を起訴。その後、再逮捕に踏み切るとみられる。(6/4 朝日新聞)
>財団法人・日本漢字能力検定協会の資産と、前理事長の大久保昇容疑者(73)=背任容疑で逮捕=の親族企業4社資産の総額は約93億円で、このうち約19億円が親族企業4社に分散された形となっていたことが24日、わかった。
国の指導監督基準などで公益法人の余剰資産(内部留保)は「公益目的で支出した事業費の約30%以下にする」と定められているが、4社の資産を加えれば基準を超えるため、事実上の“隠れ資産”になっていた可能性もあるという。
調査委の報告書や内部資料などによると、協会の余剰資金は平成20年3月期で73億5300万円で、このうち新規事業の開発資金などとして引き当てられている分を除いた純粋な資産は約15億円。一方、大久保容疑者や前副理事長の長男、浩容疑者(45)=同=が代表を務める親族企業4社の19年12月期〜20年9月期の純資産は、赤字の1社を除いても約19億5700万円。
公益法人に対しては、公益目的事業の法人税が非課税となる一方、公益法人法などで抑制があり、政府が定めた指導監督基準の運用指針では、1年間の公益目的事業費の約30%以下に抑制するよう規定されている。
漢検協会の場合、検定料などで年約72億円の収入があり、うち8割超は公益事業として非課税の対象になる。20年3月期の公益目的事業に支出した事業費は約63億円に上り、これに占める資産の割合は23・8%だった。しかし親族企業4社の資産を繰り入れると割合が基準を大幅に超えることになり、文部科学省の指導を受けるなど公益認定の妨げになる可能性がある。
協会の内部調査委員会は「法人格が別個である以上、4社の資産は協会の資産に含めないのが原則」としているが、協会は不正な取引で生じた損害金の賠償を求める方針を示しており、4社の利益が協会に返還された場合にも、運用指針の上限を超える可能性が浮上している。
一方、文科省も協会の余剰資産について調査を進めており、今後資産の圧縮など運営上の改善を求める可能性もあるという。(5/25 産経新聞)
>大久保昇容疑者が昨年秋、協会の資金数百万円を不正に引き出し、流用していた疑いのあることが協会関係者の証言でわかった。
京都地検は、横領容疑でも立件する方針。
協会関係者によると、大久保容疑者は昨年秋、株取引で資金が必要になったとして、経理担当の女性職員に数百万円を用立てるよう指示。協会本部に保管していた資金から引き出させた。その後、同容疑者が代表を務める出版会社「オーク」(同)が立て替え、協会に返金したという。
大久保容疑者が協会資金を流用したとされる昨年秋は、世界的な金融危機に見舞われていた。協会の鬼追(きおい)明夫理事長によると、昨年9~12月、同容疑者の指示で経理担当が銀行から預金計2億円を引き出し金庫に保管。しかし鬼追理事長は「前理事長が流用した事実は把握していない」と説明している。
協会の内部調査委員会によると、大久保容疑者は理事長時代の07年9月、理事会の承認を得ないまま退職金名目で協会から5300万円を受け取った。実際には辞めておらず、オークから金を借り、08年6月~今年1月に協会へ分割返済した。この時も株取引をめぐる資金を調達する必要に迫られていたとされる。
大久保容疑者のオークからの借入残高は08年末時点で約4億8千万円に上り、大半が株取引がらみという。(5/22 朝日新聞)
>日本漢字能力検定協会をめぐる背任容疑事件で、協会が文部科学省の指導直後に、前理事長の大久保昇容疑者と長男で前副理事長の浩容疑者が役員を務める広告会社「メディアボックス」と、業務委託契約書を交わしていたことが20日、協会関係者への取材で分かった。
京都地検は、協会から同社への資金の流入を正当化させる工作とみている。
文科省は、04年12月と06年3月の実地検査で、多額の利益を早急に改善すべきと両容疑者を指導した。
協会が設置した調査委員会の報告書によると、契約書の締結は文科省の指導直後の06年5月。1年ごとに自動更新される上、委託業務の内容は▽漢字検定にかかわる広報や広告、イベント▽採用活動にかかわるコンサルティング業務-などだが、金額の記載はないという。
地検によると、協会は業務を複数の代理店に直接、発注しており、メディアボックスが仲介した実体はない。地検は、両容疑者が同社が仲介していたように装って文科省を納得させようと考え、形式だけの契約書を交わしたとみている。
地検は20日、登記上、同社のあるビルなどを家宅捜索した。
両容疑者と接見した弁護士によると、2人は容疑を否認しているという。(5/21 京都新聞)
>日本漢字能力検定協会をめぐる背任容疑事件で、協会から業務を受注した複数の業者が仕事上のやりとりは協会と直接する一方、請求書は、逮捕された前理事長の大久保昇容疑者が代表の広告会社「メディアボックス」に回すよう協会側から指示されていたことが、19日に分かった。
「同社とは請求書だけのつきあい」と証言する業者もいる。
京都地検特別刑事部は、正規の請求に架空業務分を水増しして利益を得るため、大久保容疑者や長男で前副理事長の浩容疑者(45)がメディアボックスをトンネル会社として利用していた疑いがあるとみている。
メディア社トンネル疑い 業者「請求書だけのつきあい」
協会関係者によると、メディアボックスは06年度からの約3年間で、協会から7億6000万円の業務委託を受けて19社・1個人に再委託していた。このうち、京都市内の会社は京都新聞社の取材に「やりとりはすべて協会職員で、メディアボックスの社員と会った記憶はない」と証言した。別の会社は「協会職員に請求書はメディアボックスあてにしてくれと言われていた。この会社とは請求書だけのつきあいだった」と説明する。
同社は登記上、昨年11月に西京区に移転したことになっている。そのビルには「日本漢字能力検定協会」の看板はあるが、同社を示す案内は見当たらない。以前の同社の連絡先に電話すると、協会本部につながる。
協会の評議員を務める阿辻哲次・京都大大学院教授は、インターネットのニュースで逮捕を知った。「予測されたことで驚きはない。徹底的に事実を究明し、不透明だった事業運営を明らかにしてほしい」。さらに自らを含め「理事、評議員と職員は、協会を食い物にして甘い汁を吸い続けられる構造があったことを反省しないといけない」と顧みた。
理事の水谷修・名古屋外国語大学長も「新理事長のもと情報開示が進んで健全な運営がなされると信じている。理事として漢字や日本語の普及に力を尽くしたい」と話した。(5/20 京都新聞)
>07年に発刊された財団法人化15周年記念誌では「私が選ぶ一字」に「昇」を選び、「私も漢検も常に『昇』でありたい」と強烈な自負心を見せつけた。だが、その功績は国内最大級の検定の権威と共に地に落ちた。
大久保容疑者が12年間のサラリーマン生活を経て、京都市郊外の阪急桂駅前(西京区)にテナントビルを建てたのは大阪万博の興奮さめやらぬ1971年。「脱サラ」の先駆け的存在だった。ビル内に開いたパン屋は今もにぎわう。
スカーフの輸入、ゲームセンター、料理教室、学習塾--。大久保容疑者は事業の手を広げた。塾の先生のアイデアで始めた漢検の第1回(75年)受検者は672人。「事業は赤字続きで、市内にあった先祖代々の土地を売って穴埋めしていた。大久保さんの『私財をなげうった』という言葉は本当だ」と知人は言う。「結局、成功したのは漢字だけだった」
だが、協会関係者によると、漢検が軌道に乗ると、大久保容疑者のぜいたくぶりが目に付くようになった。スペインの別荘を買い、頻繁に海外旅行に出掛けていたという。かつて経営していた新聞販売店の跡地には、新たな邸宅も建設した。
06年秋にあった大久保容疑者の叙勲記念パーティーの模様を収めたビデオがある。協会理事だった明石康・元国連事務次長らが発起人を務め、政財界から200人以上が招かれた。祇園の舞妓(まいこ)の踊りやオペラ、モーツァルトのセレナーデが盛り上げ、女性ピアニストは「大久保さんは、ウィーンのニューイヤーコンサートに行くほどのクラシック通です」と持ち上げた。
乾杯の音頭を取った野中広務・元自民党幹事長はこうあいさつした。
「どんなに社会貢献しても、法に触れたら叙勲は受けられない。生涯を通じて法律に触れなかった証しです。深い敬意を表します」
叙勲時の記念写真は等身大に引き伸ばされ、理事長室に飾られた。
ある協会関係者は「豪華なパーティーにかかった費用も元をただせば検定料だ」と苦り切る。(毎日新聞)
>財団法人日本漢字能力検定協会の不明朗運営問題で、ファミリー企業の広告会社「メディアボックス」に対する架空の業務委託で協会に約2億6000万円の損害を与えたとして、京都地検は19日、背任容疑で前理事長の大久保昇容疑者と、長男で前副理事長の浩容疑者を逮捕した。
漢字検定事業で過剰な利益を得ていた公益法人の不透明運営は、刑事事件に発展した。地検は20日、協会本部や同市内にある両容疑者の自宅などを家宅捜索する方針。
容疑について、昇容疑者は否認、浩容疑者は認めているとみられる。
逮捕容疑によると、両容疑者は05年9月から09年1月までの間、昇容疑者が代表を務めるメディア社に協会が委託していた広報・PR活動業務に「進行管理費」と「年間プロモーション企画費」の架空業務をつくり、協会に委託費約2億6000万円を支出させ、損害を与えた疑い。(5/19 時事通信)
>日本漢字能力検定協会の前の理事長と副理事長が、自分の経営する会社に架空の名目で業務を発注し、協会に2億6000万円の損害を与えた疑いが強まり、京都地方検察庁は2人を背任の疑いで逮捕しました。
逮捕されたのは、大久保昇容疑者と、大久保浩容疑者の2人です。
京都地検の調べによりますと、「メディアボックス」の社員5人のうち4人は大久保前理事長とその親族が占めており、4人にはこの5年間で「メディアボックス」から報酬や株の配当として1億8000万円が支払われていたということです。
また、関係者によりますと、残る1人の社員は前理事長が経営するパンの販売店で働くなど、会社としての実態はなかったということです。
大久保前理事長は先月15日の記者会見で、「メディアボックス」との取り引きについて問題はなかったという見解を示していました。また、長男の浩前副理事長は逮捕前、NHKの取材に対して、「背任という意識はまったくなかった」と話していました。
京都地検は20日、協会の本部を捜索し、資金の流れなどについて調べることにしています。
「日本漢字能力検定協会」の鬼追明夫理事長は、前の理事長と副理事長が逮捕されたことについて、「事態を見守るしかない。協会は粛々とやるべきことをやるだけだ。受検者に心配をかけ、おわびしなければならない。協会は業務を続けていくので、その点は信頼していただきたい」と述べました。河村官房長官は午後の記者会見で、「非常に残念な結果だ。日本人にとって漢字は非常に大事なものであり、結果的に『くいもの』にされたということになれば、きわめて遺憾だ。今後の事業については、新しい理事長の下で適切に対応すると思うので、文部科学省で十分、検討してもらいたい」と述べました。(NHK)
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